Y&E LAW・CONSULTING 上海外安伊企業管理諮詢有限公司

中国では、資金がショートして倒産する企業が増えている。

「温州老舗企業社長の夜逃げ」のニュースが話題になったのでご存じの方も少なくないと思うが、何もこれは特別な例ではない。中国の至るところで資金難におちいって倒産寸前の会社が増えている(弊社でも最近、取引先倒産の相談が増えている)

政府の金融引締政策により、中国の国営金融機関の貸出可能資金は、ほぼ全て国営企業に回ることとなり、私営企業には回らない。人件費や原材料費が高騰しているなかで、銀行から融資が受けられないと企業を存続できない私営企業の社長達が今、カネに奔走しているという状況なのだ。本業だけやっていればまだしも、投資やギャンブルなどの副業にも精を出し失敗している社長は、もう闇金融に駆け込むしかない(今中国では、不動産も株も低調なため、10%程度の高利息を(口)約束する闇金融に資金を提供する一般人も増えている)。闇金から年利100%程度で当面の運転資金を借りたはいいが本業のビジネスをいくらやっても返せる訳はない。それなら一族郎党夜逃げしかないとなるわけだ。

そんな状況の中、中国ローカル企業を客先として持つ日系企業の皆様は、かなり危機感をもって債権回収に臨まれていると思う。反対に意外とゆっくりと呑気に構えていると痛い目を見るのが、「仕入先、委託加工先として」中国ローカル企業と取引がある日系企業だ。お金を払うのはこっちだから安心だと安心していると、無償支給している原材料や貸与している金型を置き去りにして、取引先社長に夜逃げされてしまう。社長がいなくなっても、「所有権はこちらにあるのだから大丈夫」と考えて、原材料、金型を取り返しにいくと、まずびっくりする光景を目にする。取引先の工場は、公安、やくざ、債権者などで囲まれていて、ネジ1つも外には出せない状況になっているからだ。この状況では、公安、やくざ、債権者など(取引先の資産を、自分以外の第三者に取られてしまうわけにはいかない)公安、やくざ、債権者などに、許してもらえない。取り返すためには、裁判を起こすしかなく、下手すると取り返すまでに半年以上かかるという例も珍しくない。

夜逃げ、倒産が増えているこういう時期には、客先ではなく、仕入先(特に自社資産を相手の敷地内に置いている仕入先)に対しても、「資金繰りは大丈夫なのか」、「仕入先社長が金策に走っている兆しがないか」などを、定期的に調べることが必須だろう。そして、自社が取引先の敷地内に置いてある原材料、金型が自社のものであることを示す証拠作りと、いざというときの迅速なアクションが必要なのは言うまでもない。

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