Y&E LAW・CONSULTING 上海外安伊企業管理諮詢有限公司

20111226日、韓国系企業のLGディスプレー南京工場の8,000人の従業員が、年末ボーナス金額に対する不満からストライキを起こしました。去年までは給与3ヶ月分がボーナスとして支給されていたのに、今年は給与1ヶ月分に減らされるという会社の方針に、従業員が不満をもったことが原因です(結局、会社が去年と同等(3ヶ月分給与)の年末ボーナスを支給する方針ことで事態は収まったようです)。

 

ここで注意すべき点は、「従業員は、会社の利益とは無関係に、一定以上のボーナスを要求するようになってきている」ということです。ご存じの通り中国の法律上(会社の規定で特に約定されていない限り)ボーナスは、支給するかどうか、(支給する場合)どんな金額で支給するかについて、会社が(従業員の了解を得ることなく)自由に決めることができる報酬です。それにも関わらず実務上は、(例年水準の)ボーナスをもらえることが従業員の既得権となりつつあるので注意が必要です。

 

そこで、皆さまの会社で「従業員へのボーナス支給額」を決める際には、以下のことを留意することをお勧めします。

 

     今年、会社の利益が例年を下回っている場合(もしくは利益が出ていない場合)

 

「会社の利益が十分出ていない場合には、従業員に対するボーナスも減額されるのが当り前」という考えが常識だと思いますが、今年は可能な範囲で、例年に近いボーナスを従業員に支給することをお勧めします。上記の南京LGのニュースも大きく報道されているため、「騒ぎを起こせば会社側が必ず最後には、こちらの要求を飲む」と考えている従業員が少なくないと思われるからです。今年のボーナス水準を例年より減らす場合には、御社の従業員がそれに不満を持ってストライキ等を起こし、会社の生産・経営に影響を及ぼす可能性も一応検討された上で(必要に応じて事前に予防策を打った上で)決めることをお勧めします。

 

     今年、会社の利益が例年を大幅に上回っている場合

 

「今年は会社の利益が大幅に増えたので、貢献してくれた従業員には例年以上のボーナスを上げたい」と考える経営者の方も少なくないと思います。ただしここで考えて頂きたいのが、今年ボーナスの水準を上げてしまうと、それが来年以降のスタンダードになってしまう可能性があるということです。もちろん「今年ボーナスを増やしたのは利益が増えたからであり、来年利益が減ればボーナスも減るのが当然」と考える気持ちは十分分かるのですが、その気持ちを理解してくれる中国人従業員は残念ながら多数派ではないのが現状です。ボーナス水準を上げる場合でも(来年以降のことも考えて)大幅増ではなく、来年以降も継続できる水準に留めておく方が安全だと思われます。

 

以上、皆さまの会社での従業員ボーナス金額決定の際のご参考になれば幸いです。

 

参考:

LGディスプレー南京工場ストライキの関連ニュース記事:

http://2chspa.com/thread/news/1325055939 (日本語記事)

http://finance.sina.com.cn/g/20111229/012511087367.shtml (中国語記事)

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