- ・2012-07-13
- 「高温手当」に関する最新法律法規について
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2012年6月29日に、国家安全監管総局、衛生部、人力資源と社会保障部、全国総工会が連名で、「防暑降温措置管理弁法」
(以下、「弁法」)を公布し、同日より弁法が施行されることになりました。
弁法のポイントを整理いたしましたので、ご報告いたします。
参考になれば幸いです。
適用範囲:高温作業があり、労働者に高温下で作業させる企業、事業単位と個人経営組織などの雇用企業。
<重要ポイント>
1. 労働者に高温下で屋外作業をさせる場合、及び有効な措置をとれず作業場所の温度を33℃未満(33℃を含まない)に
下げられない場合には、雇用企業は、労働者に高温手当を支給しなければならない。
2. 高温手当支給額は、各省・直轄市・自治区の人力資源と社会保障局等が制定する規準に基づく。
3. 雇用企業は労働保護のため高温手当を支給すると同時に、継続的に夏季作業場に清涼飲料を提供しなければならない。
高温手当を清涼飲料代に充ててはいけない。
4. 高温作業の基準:
① 日中の最高気温が40℃(40℃を含む)を超える場合、当日の屋外作業は中止。
② 日中の最高気温が37℃以上(37℃を含む)、40℃未満(40℃を含まない)の場合、雇用企業は、労働者に6時間を超える
屋外作業をさせてはならない。また、この場合、気温が最も高い時間帯の3時間は、労働者に屋外作業をさせてはならない。
③ 日中の最高気温が35℃以上(35℃を含む)、37℃未満(37℃を含まない)の場合、雇用企業は、交代制で労働者の
連続作業時間を短縮し、かつ労働者に屋外作業の残業をさせてはならない。
5. 労働者が高温作業で熱中症になり職業病と診断された場合、労災保険の適用対象になる。
<都市別の状況>
★上海の場合
上海の最新通知は、2011年の「関于調整本市企業高温季節津貼標準的通知」となる。企業は毎年6月から9月の間、労働者に高温下での
屋外作業をさせる場合、及び有効な措置をとれず作業場所の温度を33℃未満(33℃を含まない)に下げられない場合には、
労働者に高温手当を支給しなければならない、
と定めている。支給基準額は毎月200元としている。また、それとは別に清涼飲料を支給しなければならない(高温手当の200元を
清涼飲料代に充ててはいけない。但し、清涼飲料代について、具体的な金額を規定していない)。
上海は、法律法規規定上においても、実務上においても、これらの手当支給は強制となっている。
【Y&Eのコメント】
上海市は、すでに去年から高温手当支給義務を雇用企業に強制的に課しているため、6月~9月には高温手当を昨年に引き続き同様に支給しましょう。
★蘇州の場合
江蘇省の最新通知は、2011年の「関于企業夏季高温津貼標準的通知」となる。当該通知には、毎年6月から9月の
高温季節手当(200元/月)を支給しなければならない、と定めているが、実際は強制とはなっていませんでした。
また、清涼飲料の規定はありませんでした。
但し、当該弁法は、全国が適用範囲とされ、かつ強制力を持つものであるため、当該弁法の施行に伴い、
蘇州の企業としてどうすべきかについて、弊社は、蘇州市人力資源と社会保障局、及び蘇州市安全監管局に
問い合わせをしたところ、以下のように異なる回答を得た。
蘇州市人力資源と社会保障局の回答:
弁法に関する江蘇省の政府文書(施行細則)はまだ出されていないため、江蘇省の政府文書(施行細則)が出されるまで高温手当の
支給を強制しない。
蘇州市安全監管局の回答:
弁法は強制力をもつものであるため、江蘇省の通知(上記2011年の「関于企業夏季高温津貼標準的通知」)に基づき、高温手当を
支給しなければならない。
【Y&Eのコメント】
蘇州のお客様に対して弊社は、次のように提案させていただきます。
① 7月から、本弁法に従い、高温手当(7~9)を支給する
② 支給金額は、蘇州市の昨年の指導意見に基づき200元/月とする
③ 6月分の高温手当を追加支給するかしないかは江蘇省の政府文書(施行細則)が出されてから判断しましょう。
【参考】「防暑降温措置管理弁法」が掲載された国家安全監管総局公式ホームページのサイト(中国語):
http://www.chinasafety.gov.cn/newpage/Contents/Channel_5330/2012/0704/172980/content_172980.htm