Y&E LAW・CONSULTING 上海外安伊企業管理諮詢有限公司

従業員との労働契約解除に関して現地法人経営者が知っておくべき基本事項について、Q&A形式で解説する「労働契約解除の基礎知識」。3回目の今回は、ストライキに伴う労務問題について。

 

Q5:会社の待遇に不満を持ち、他の従業員を巻き込んでストライキを起こした社員がいる。このストライキのおかげで生産ラインが2日間も止まってしまった。こんな社員を即刻解雇したい。

 

A: 会社にとっては問題児となるこのような社員でも、簡単には解雇できない可能性があるので注意が必要だ。ストライキの理由が政府機関等から見ると客観的に「正当性がある」と判断される場合もある。そこで解雇をする場合には、「ストライキを起こしたこと」を理由にするのではなく、「就業規則等に違反したこと」を理由にする方が安全だ。例えば、会社の就業規則上に、「上司が何回指示しても職場に戻らない場合は、厳重違反として解雇できる」というような条文があれば、建前上、それに基づいて処分する方がよいだろう。またその際に、厳密な証拠を残す必要もある。例えば、ビデオカメラ等で、上司が何回指示をしても、その従業員が職場に戻らない様子を撮影しておくなども1つの方法だ。

 

Q6:解雇をするかどうかはともかくとして、ストライキで生産ラインが停止していた2日間は、工員は全く仕事をしていなかった。したがって、その2日間分の工員の給与をカットしたい。

 

A: これも残念ながら給与をカットできない可能性が高い。実際に仕事はしていなくても、実際には定時に出退勤して、タイムカード上には出社した記録が残っている可能性が高い。また実際に仕事はしていなくても、出勤して会社と正当な交渉をしている時間は業務をしているとみなされる可能性があるからだ。

▲ ページTOP へ戻る