Y&E LAW・CONSULTING 上海外安伊企業管理諮詢有限公司

今回は、「労働契約解除の基礎知識」はお休みにして、外貨管理局での登記手続きに新たに加わった面白い提出資料についての話を書いてみたい。

 

中国で外資企業を設立する場合には、営業許可証をもらった後に、外貨管理局から認証を受け、「外貨登記証」をもらうプロセスが必要となる。この外貨登記証をもらう手続きにおいて、昨年の年末から、新たに提出しなければならない資料が追加された。それは「外国からの投資者(親会社)の株主に、中国人・中国企業がいないことを保証する」旨の資料を提出しなければならなくなったのだ。

 

これは、親会社が非公開企業であれば比較的簡単に証明できると思われるが、上場企業になるとそんな証明は現実的には不可能だ。しかし、これを保証しない限り、手続きが前に進まないので始末が悪い。

 

まだ上海の場合はいい。外国からの投資者(親会社)自身が、「株主に中国人・中国企業がいないこと」を自ら保証する文言の書類を提出すればいいことになっている。しかしお隣の江蘇省の内規では、第三者(公証役場か弁護士)に保証してもらわなければならないようだ。特に親会社が上場企業の場合には、「株主に中国人・中国企業がいないこと」は、理論的に誰も保証はできない。その理論的に保証できない書類に、公証役場も、(無限責任を取る必要がある)弁護士も中々署名してくれないはずなので、困っている企業も多いのではないだろうか。

 

これが、新たに法人設立登記をする企業だけに適用されるルールであれば、進出済み企業には関係ない話なのだが、実はそうは問屋が卸さない。江蘇省では、既存の外資企業に対しても、優先順位をつけながら(多分大手企業から順に)、この証明書の提出を求めているようだ。もちろん江蘇省の場合は、親会社の自己保証ではなく、公証役場か弁護士の第三者保証が必要だ。解決策がないわけではないのだが、日系企業の総経理にとっては頭が痛い問題になるだろう。

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