Y&E LAW・CONSULTING 上海外安伊企業管理諮詢有限公司

従業員との労働契約解除に関して現地法人経営者が知っておくべき基本事項について、Q&A形式で解説する「労働契約解除の基礎知識」。2回目の今回は、給与・ボーナスの変更について。

 

Q3:問題のある出来の悪い社員でも簡単に解雇できないのであれば、給与くらいはガツンと減らしたい。どのくらい減らせるのか?

 

A: 会社と従業員双方が署名した労働契約上に記載されている「給与」は、従業員の同意がなければ変更は難しい。当然給与を上げる場合には反対する従業員はないだろうが、下げる場合に簡単に同意する従業員などいない。「給与」に限らず労働契約に記述された内容は、簡単には変更ができないので注意が必要だ。では例えば、労働契約に「管理職手当:3,000/月」と書いてあった場合、その従業員を管理職から外したら、給与を3,000元減らせるのだろうか?答えは可能と言えば可能、ただしその従業員がその管理職の業務を全うできないことを証明する客観的な事実が必要となる。その客観的な事実とは、日本の常識に基づく事実ではなく、労働仲裁や裁判になったときに、(どちらかというと従業員側の立場を取る)中国人裁判官等も納得する事実である必要がある。実際には管理職手当であっても減らすことは簡単ではないと思った方がよいだろう。資格手当など後で減らす可能性があるものは、労働契約には書かないようにする方が安全だ。

 

Q4:給与が簡単に減らせないのなら、ボーナスくらいは減らしたい。ウチは全従業員に毎年給与の1ヶ月を支払っているが、この出来の悪い社員の今年のボーナスはゼロにしたいのだが問題ないだろうか?

 

A:ボーナスはゼロにすることも可能だ。労働契約法など中国の法律法規で、ボーナスに関して決めているルールはない。特に従業員と会社で別段合意した取り決めがない場合には、ボーナス支給金額だけでなく、ボーナスを払うかどうかも会社が決定できる。過去に何ヶ月分ボーナスを払っていたか、他の従業員にいくらボーナスを払うかなどとは無関係に、会社が一方的に従業員のボーナスを決めることができる。


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