- ・2010-09-01
- いざとなれば違法解雇も
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・従業員が狙ってくる経済補償金は最大2倍まで
・まずは従業員に希望金額を言わせる
・会社に残る選択肢がないことを明確に伝える
・できるだけ相手に考える時間を与えない
の4つを書いた。今回もその続きで他の注意点について書いてみたい。
・各従業員と、個別に協議する
これは改めて書くまでもないかもしれないが、例え複数の従業員を一気に整理する場合であっても、従業員1人1人と個別に協議しよう。仲間がもう1人増えるだけでも、心理的にも相手に有利に働いてしまうからだ。
・相手の弱みに付け込む
従業員と協議を行う前に、その従業員に関する情報収集を行っているはずだ。そこでもし相手にとって不利な情報、証拠があれば、それを利用しない手はない。厳密には証拠が不十分であっても、素人の従業員は、そこまでは分からない。その弱みに関する話を少ししてみたり、証拠の一部をチラッと見せるだけでも効果があるだろう。弱みの程度にもよるが、それをほのめかしたとたんに、相手の態度が急変し、素直に労働契約解除に応じるとか、下手をすると自ら辞めていく場合もある。ただし、相手の逃げ場を完全に無くすまで追いつめてしまうと、相手も噛みつくしか方法がなくなるので注意が必要だ。
・いざとなれば違法解雇も
いろんな手を尽くしても、従業員と労働契約解除の合意ができない場合も当然ある。しかし、その従業員がこのまま辞めずに残った場合、悪意を持って会社の利益に反する行為を続けることが想定される場合などは、会社としても泣き寝入りする訳にはいかなくなる。そんな場合は、違法であることも覚悟しながら、その従業員を強制解雇するというオプションも考えられるだろう。
その場合、解雇した後その従業員はほぼ100%、労働仲裁を起こしてくる。そして会社はほぼ確実に負ける。ただし労働仲裁、そしてその後裁判となれば半年くらいかかる。ここがポイントだ。少なくともその判決がでるまでは、その従業員は会社に来ることもできないので、会社の通常業務に害を与えることはない。
もう1つ使えるのが、3倍ルール。 「経済補償金1ヶ月分の上限は、各地域の平均給与の3倍」という決まりがある。特に上海の場合は、2009年3月上海高等裁判所発表の労働契約法に関する司法解釈によれば、「違法解雇であろうとも、経済補償金1ヶ月分のMAXは、平均給与の3倍」となっている。特に給与の高い従業員にお引き取り願う場合には使えるルールとなる。