Y&E LAW・CONSULTING 上海外安伊企業管理諮詢有限公司

クビにしようと考えている従業員に関する極秘調査を行った後、いよいよ従業員と労働契約解除の協議を行うことになる。今回は、その際の注意点について書いてみたい。

 

払う金額の目安(ストライクゾーン)

企業側の都合で一方的に従業員をクビにすると違法解雇になってしまうので、両者合意の上での労働契約解除の形を取ることになる。そして従業員側が合意してくれるかどうかは、「カネ」次第。ではいくら払えば、会社を辞めてくれるのだろうか。当然ケースバイケースだが、一般的な目安(ストライクゾーン)はある。まずストライクゾーンの最も低めは、法律で決められた経済補償金額。これより低い球を投げても、従業員はまず振ってくれないだろう。そして、違法解雇のときに払うことになる法定経済補償金の2倍が高めギリギリのストライクゾーンとなる。通常は、このストライクゾーンの間での、企業と従業員の戦いとなる。

 

まずは従業員に希望金額を言わせる

価格交渉の際の黄金ルール「相手に先に金額を言わせる」は、労働契約解除の場合も有効となる。

 

会社に残る選択肢がないことを明確に伝える

日本的な対応で、ついつい曖昧な表現で交渉してしまうケースも多いのだが、それは中国では時間の無駄。最初から「あなたには、会社に残るという選択肢はない」ときっぱり言って、あとはカネだけの問題であることを伝えよう。合理的な中国人従業員は、カネの土俵に上がってさえくれれば比較的早めに解決できる。

 

できるだけ相手に考える時間を与えない

交渉ごとで相手に考える時間を与えるとろくなことがない。従業員に時間を与えると、周りの人間と相談したりして、一元でも多くの金額を取る作戦を考え続け、終わりが来ない。そこで、労働契約解除の交渉を切り出すのも、(前もって従業員にその旨伝えておくのではなく)奇襲攻撃に限る。交渉の結果従業員と金額で合意できそうな場合には、(事前に用意した)資料に、その場で署名してもらう方がよい。署名を明日以降にしてしまうと「よく考えたら、やはり、その金額では辞められない」と言ってくる可能性が高いからだ。ただ、「家族と相談してから決めたい」と従業員が言った場合には、1~2日位は猶予を与えなければならないだろう。ただし、その場合でも、今回企業側から提案している金額は、その約束の期限(12日)に限り有効であり、そこで合意・署名できない場合は、企業側も金額を再考する(=提示金額は、より低い金額となる)、ということを従業員に伝えてプレッシャーをかける必要もあるだろう。

▲ ページTOP へ戻る