Y&E LAW・CONSULTING 上海外安伊企業管理諮詢有限公司

中国人労働者はバカではないので、まだ会社に残って働いた方が得だと思っているうちは、会社に従順なフリをして猫をかぶっている。しかし、いざ会社を辞めることを決心したとたんに、あの手この手を使って、1元でも多くのカネを会社からむしりとってやろうと考えて行動する。例えば、そういう従業員は、会社を辞める決心をすると、弁護士に相談に行く。会社の制度の穴つき、どうやって会社からカネをむしり取るかを教えてもらうためだ。実際、カネ目当ての確信犯の従業員は、このような行動を取る。

 

例えば営業担当の従業員の場合、上司が新規顧客開拓のため営業訪問をするように指示を出しても、知り合いの会社ばかり訪問するようになる。営業訪問したら報告書を出せと言われても、出さない。また、少なくとも月に数件は新規顧客訪問のアポを取れといっても、営業電話をかけることすらしなくなる。上司が最後には腹に据えかねて、激怒すると、それから上司のことは無視するようになる。

 

そこまで常軌を逸した行動にでるなら、「クビだ!」と言いたくなるのだが、そう簡単にはクビにできないのが今の中国だ。このあたりは中国ビジネス暦の長い日本人でも意外と分かっている人が少ないのだが、会社側もしっかり準備をしておかないと、いくら常識的に従業員に非がある場合でも簡単にはクビにできないのだ。これを知らずに、日本人管理者の方が感情的になり、早まってクビにしてしまうと、あとが大変だ。違法解雇となって経済補償金を通常の2倍払わなければならなくなるから目もあてられない。

 

さらに頭のいい従業員だったら、「2倍の経済補償金は要らないから、違法解雇を取り消して、職場復帰を要求する」かもしれない。そうなったらいくら会社側が嫌と言っても、従業員の望む通り、職場復帰させるしかない。特にその従業員と労働契約の残り期間が長かったら、従業員にとっては、適当に仕事をサボりながら、給与をもらっておいた方が得だからだ。

 

「えっ、そんな悪質な社員も解雇できないの?」と思うかもしれないが、会社の就業規則で「上司の業務上の命令を意図的に守らなかった場合には、就業規則厳重違反として解雇できる」等のルールが決まっていない場合には、今の中国では合法的に解雇できないのだ。

 

クビにするのが難しかったら、大幅に減給してやる!と思う方もいるかもしれないが、これもうまくいかない。採用するときに、労働契約上で書かれた給与を簡単には下げることができないからだ。

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