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最近、華東地域の沿岸部では、「工場の立退き」を要求されるケースが増えているようだ。

未開発の土地が少なくなり土地利用権の販売収入が期待できなくなった地方政府が、「工場用地」をできるだけ安い価格で買い取り、より高い価格で「住宅地、商業地」として売ることで収入を得ようとしているためだ。

 

では、地元政府から突然「立退き通知」の連絡を受けた場合、あなたの会社であればどう対応するだろうか。

 

地元政府が正式に都市計画として、工業用地から住宅地、商業地に転換しようとしているのであれば、基本的には、それに従う他ないだろう。ただし、地方政府から言われるがままの条件で立ち退く必要は全くない。そして特に重要となるのが「移転賠償金」の条件だ。移転賠償金は、企業の資産の引越費用などいろいろな明細の積上げで計算されるが、その中でも圧倒的に大きなウエイトを占めるのが、土地使用権の買上金額だ。政府から提示される土地の買上金額は、地方政府が指定する資産評価会社の評価結果に基づき計算される。気をつけなければいけないのは、この政府から提示される金額は、最終決定ではなく単なる交渉のスタートに過ぎないということだ。政府指定の資産評価会社が複数あり、その中から企業側が好きな資産評価会社を選ぶというのが通常のパターンではあるが、地方によっては指定の資産評価会社が1社しかない(≒政府とツーカーで政府の意見が強く反映される)場合もある。当然地方政府としては、「できるだけ安く土地を買い上げたい」と思っているので、自分達の都合のよいデータを持ち出して、なんとなくそれっぽく安い金額を出してくる。何も知らない日系企業がそこでサインなどしてしまっては、それこそ政府立退き担当者の思うつぼだ。政府担当者も「早く立ち退いてほしいが、そのためには企業側からOKをもらわなければならない」という弱みがあるし、賠償金として払うカネは自分のカネではなく国カネという側面もあるので、ちゃんと面子を立ててあげれば、交渉に応じてくれる場合も多いからだ。ではどうやって賠償金額でよい条件を勝ち取ればよいのか。これは政府の立退きのやり方や思惑、そして政府の使う土地相場のデータなどに詳しい専門家の助けを借りた方がよいだろう(ちなみに宣伝になるが、弊社でも成功報酬タイプの賠償金交渉サポートも行っているので興味があればご連絡ください)。ただし、政府の役人と敵対しないことも重要だ。敵対モードで入り政府の役人にもキレてしまうと、理不尽な対応をされる可能性があるので注意が必要だ。

 

また「立ち退かない」という選択肢もある。知らない方も多いかもしれないが、中国でも私有財産は(法律法規上)守られるからだ(2007年に私有財産を守ることを取り決めた物権法が施行されている)。国の安全や公共の利益に基づかない「立退き請求」であれば、地方政府の立退き要求に応じずに、居座るという選択肢も論理的には可能となる。ただし、立退きが完了しないと自分の出世に大きな影響がある政府役人による、ありとあらゆる意地悪に屈しないことが必要となる。

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