Y&E LAW・CONSULTING 上海外安伊企業管理諮詢有限公司

今回は、第三者に知的財産権を侵害された場合に、こちらが取り得る反撃の手段と、その後に相手側がしてくるかもしれない逆襲の可能性について説明しよう。

 

中国で、第三者に知的財産権を侵害された場合、その第三者を権利侵害で訴えるだけではなく更に突っ込んだ対策を打つこともできる。そういった対策を打つことで、裁判の判決が出る前であっても、被害を最小限に食い止めることも可能となる。

 

例えば、自社の知的財産権を侵害する商品を、第三者が生産・販売している場合。こちらが一定金額の担保金を積むことで、第三者が保有する当該商品の在庫を財産保全する(=自由に売れなくする)ことも可能だし、第三者による当該商品の生産の停止を裁判所に申し立てることもできる。さらには税関にも訴えて、当該商品の輸出も差し止めることも可能だ。

 

中国ローカル企業による模倣商品に悩まされることの多い日系企業であれば、このようなアクションを迅速に取り、徹底的に、相手を封じ込めて、自社のリスクを最小化することを考えるだろう。

 

ただし、場合によっては、以下のように相手側からクロスカウンターのような逆襲を受ける恐れもあるので注意が必要だ。

 

例えば、知的財産権の侵害で訴えた相手側が、逆に、こちらの保有する「知的財産権の無効」を求めた訴訟を起こすこともできるのだ。

 

この場合、(1)こちら側が起こした知的財産権侵害に関する裁判、(2)こちら側が取った財産保全・生産停止・税関輸出差し止めなどの被害を最小限に抑えるアクション、(3)相手側が起こした知的財産権無効の訴訟、の3つがパラレルに動くことになる。そして、例え(1)知的財産権侵害に関する裁判でこちらが勝訴した場合でも、(3)の裁判で敗訴し、こちらが保有している(と思っていた)知的財産権自体が無効になる可能性があるのだ。

 

そうなった場合、逆に第三者から、「財産保全・生産停止・輸出差し止め」による損害賠償請求で訴えられる可能性もある。

 

このような相手からの逆襲リスクも想定しながら、どこまで戦うか。知的財産権を侵害された会社の総経理は、(実は被害者であるにも関わらず)頭の痛い問題を抱えることになってしまうのだ。

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