- ・2010-11-01
- 親子間取引での取引価格の妥当性を客観的に証明できる?
- コラム一覧へ戻る
税関が、輸入商品の関税及びその他の費用を徴収する際の基準とする「課税価格」。通常、課税価格は、輸入する商品の「売り手と買い手が合意した価格」となる。しかし、その合意価格を課税価格として申請したにも関わらず、税関から「待った。その価格は、低すぎる」とイエローカードを出されるケースが増えてきている。
特に、売り手と買い手が同一グループの場合(例えば売り手が日本本社、買い手がその中国現地法人という場合)に、このようなイエローカードが出やすいようだ。つまり、商品輸入がグループ間取引であれば、恣意的に(関税等を節約するために、より低い価格へ)合意価格をコントロールする可能性がある、というのがその理由だ。
実際、税関が「合意価格=課税価格であること」の妥当性を見るときのポイントは、「売り手と買い手の特殊な関係(親子関係など)が、その価格決定に影響を与えているかどうか」である。
税関からこのようなイエローカードを出された場合には、「売り手と買い手は確かに特殊な関係(親子関係)にはあるが、そのことは価格決定には影響を与えていない」ことを証明しなければならない。
では具体的には、どう証明するのか。
これはケースバイケースなので、どんな場合でも通用する一般的な方法をここで書くことはできないが、同一または類似商品の市場価格や、価格を決定する根拠となっている積み上げコストなどを税関に提示することになるだろう。
また最近は、税関だけでなく、税務局等も親子間等、グループ間取引に関わる調査を強化しているようだ。
通常、日系企業の中国現地法人であれば、何らかの親子間取引があるはずだ。全体の売上に占める親子間取引の割合が多い企業は、当局からイエローカードを出されることも想定して、予め準備をしておいた方がいいかもしれない。