Y&E LAW・CONSULTING 上海外安伊企業管理諮詢有限公司

「税関」という言葉を聞くと、頭が痛くなる総経理の方も多いのではないだろうか。

 

複雑怪奇で難しい税関関連業務は、多くの日系企業にとって1、2を争う問題多発地帯のはずだ。だからといって、「どいつもこいつも役に立たない。ここを俺様が陣頭指揮を取り、パシッと解決してやる」と意気込んで総経理自ら問題解決に乗り込んでみたところで結局は埒が明かない。それならいっその事、「良きに計らえ」と、税関担当に丸投げをする気持ちもよく分かる。

 

実際のところ税関関連業務は、総経理だけでなく、社内の税関担当者にとっても手に負えない代物だ。取り扱う商品が多いせいか関連法律法規は多岐に渡り、かつ頻繁に変更・更新される。ここだけの話、税関の職員ですら、自分の担当領域についてはともかく税関全般に関して全て網羅的には分かるはずがないのではないか、と思ってしまうほどだ。

 

さらに税関関連業務は複雑なだけでなく、「ペナルティ」が重い。税関関連業務で違法行為があった場合は、罰金だけでなく刑事処分もあり得るからだ。労務問題であれば、最悪、カネで解決すればいいだろう。しかし税関関係のトラブルの場合には、懲役刑まで覚悟しなければならない。意図的ではなくとも税関に違法行為を咎められた段階で、「総経理の私には全く身に覚えがない」と、本人としてはウソ偽りのない正直な気持ちを述べたところで、(社内の税関担当者に言われるがまま)責任者として書類にサインした証拠があれば、逃げも隠れもできない。

 

そんな怖いことになるくらいだったら税関職員に対しては全て「YES」と、盲目的に従いたくなる。しかし問題はそれでは解決されないのだ。税関職員も(意図的ではないにせよ、複雑怪奇な税関業務を扱うがゆえに)間違うことがある。税関側の担当職員が変わり、新しい税関職員から、違法行為を指摘された場合に、「これまで税関の言うとおりにやっていたんです」と言ったところで、「違法は違法」と、誰も助けてはくれない。

 

では、一体どうすればいいのか。

 

今後数回に渡り、事例を交えながら、そんな話を書いていくことにする。

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