Y&E LAW・CONSULTING 上海外安伊企業管理諮詢有限公司

今回は、ある外資系メーカーが、刑事罰(普通貨物密輸罪)の疑いで税関に調査された事例を紹介しよう。

 

この外資系メーカーは、新商品を中国に輸入するにあたり、(税関の指示で)税関コードA4%の税率が適用されることとなった。新製品の輸入開始後半年ほど経った頃、「今後この商品の税関コードはBとなり、税率は6.5%になる」との口頭連絡が税関からあった。しかし、この会社の本国の税開および、中国の他都市の税関では今までどおり税関コードA4%の税率が有効だったため、この会社は税関コードA、税率4%で輸入申告を続けることにした。

 

そして、更に1年後。中国税関総署より「この商品に提供される税関コードがBとなり、税率は6.5%を適用する」という公告が出された。しかしこの会社内のコミュニケーションミスで、公告が出た後も、うっかり税関コードA、税率4%で輸入申告を継続してしまった。

 

するとその2ヶ月後、税関がこの会社の商品を差し押さえ、「普通貨物密輸罪」の疑いがあるとして立件調査を開始した。

 

税関は、この会社に口頭で税関コード変更を通知した時点からの脱税容疑(約100万元)で起訴の準備を始めているとのことで、もし有罪判決の場合は、

      脱税金額の15倍の罰金

      直接の(総経理等を含む)直接責任者は、3年以下の懲役(特に罪が重い場合は10年以上の懲役)

という刑事罰を含む処置を取られる可能性があった。

 

本件の場合、最悪のケースでは総経理自身も責任者として懲役刑も覚悟する必要がある。さて皆様が、この会社の総経理だったら、どうするだろうか。

 

この会社は、弊社税関専門弁護士に相談。弊社税関専門弁護士が今回の案件をサポートした結果、

      口頭による通知は、何の効力ももたない

      ゆえに、脱税行為に該当するのは、税関総署の公告が出た後である

      公告後の脱税額は100万元ではなく4万元程度となるため、本件は密輸の刑事罰(5万元以上の脱税行為)には該当しない

      さらに本件は、この会社が故意に行った訳ではなく、税関の調査にも積極的に協力している

という会社側の主張を税関も認め、刑事罰が回避され、罰金の金額の削減にも成功することとなった。

 

最悪でもカネで解決できる労務のトラブルとは違い、刑事罰の可能性もあるのが税関関連のトラブルだ。意図的に違法行為を行う日系企業はほとんどないと思われるが、もし何かのミスで税関関連の問題が発生した場合には、専門家の意見を聞きながら慎重に対処することをお勧めしたい。

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