Y&E LAW・CONSULTING 上海外安伊企業管理諮詢有限公司

今回は、ある外資系食品メーカーが「輸入関税還付」を勝ち取った事例を紹介しよう。

 

この食品メーカーは、年間10億元相当の食品を本国(本社)から中国へ輸入し、中国国内で販売していた。

 

あるとき、この食品メーカーは、輸入販売している食品が優遇関税適用商品であることに気づいた。この食品の輸入元である(食品メーカー本社が存在する)本国と中国の間で締結されている優遇関税条約の対象商品に、この食品が含まれることが分かったのだ。そこで、この食品メーカーは、中国の所轄税関に対して、過去に遡って、払い過ぎた輸入関税を還付してもらうよう要求した。

 

しかし税関は、この食品メーカーの要求を拒否。

 

中国税関総署の規定で「輸入関税優遇の適用を希望する場合には、“輸入時点で”その旨申請しなければならない」というルールがある。それゆえ、食品メーカーが輸入時点で優遇関税適用申請をしていない“過去日付”の輸入分については、関税優遇適用には該当しないというのが税関側からの回答であった。

 

さて、皆様が、この食品メーカーの総経理だったら、どうするだろうか。

 

ほとんどの方は、「そういうルールがあるなら仕方がない」と諦めることだろう。しかしこの食品メーカーの総経理は違った。もしバックデートで輸入関税優遇措置が適用となれば、還付される金額は数千万元になる。これは諦めるには大きすぎる、、ということで、弊社税関専門弁護士に相談。

 

弊社税関専門弁護士が今回の案件を分析した結果、「部門規定よりも、国レベルの条約が優先されるべき」という論点で税関と交渉する方針を決定。「税関総署の決めたルールより、国レベル(この食品メーカーの本国と中国の優遇関税条約)のルールが優先されるべきである」というこちら側の主張に、最終的には税関側も納得し、結果として、この食品メーカーの過去日付の関税還付申請を受領され、数千万元分の関税が還付された。

 

「税関に睨まれると怖いので、とりあえず言われる通りにしておいた方がよい」と考える日系企業経営者の方も多いと思うが、金額の大きさ、コトの重要性等によっては、専門家と相談の上、税関に対しても主張すべきところは主張することで、企業の利益を守っていくことが必要であろう。

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