Y&E LAW・CONSULTING 上海外安伊企業管理諮詢有限公司

今回も、前回に引き続き、意外と知られていない上海高等裁判所発表の労働契約法に関する司法解釈(20093月)の、主なポイントを紹介する(※この司法解釈は、あくまでも「上海市のみ」有効。それ以外の地域の方々は参考程度に見ていただきたい)

 

 

労働契約解除時に支払う1ヶ月分給与の計算方法

 

労働契約法第40条にもとづき、従業員との労働契約を解除する場合、会社側は30日前に書面形式で従業員本人にその旨通知するか、1ヶ月分の給与を支払ってその日に労働契約を解除することができると定められている。

 

特に問題のある社員をクビにする場合、労働契約解除を通告した後30日間も会社に残られると、どんな悪さをされるか分からないため1ヶ月分の給与を支払って、即日労働契約解除を選択する会社も多いのではないだろうか。

 

問題は、その際の1ヶ月分の給与をどうやって計算するか。

 

「過去12ヶ月の平均給与に決まっているだろう」と答えた方は、残念ながら不正解。過去12ヶ月の平均で計算するのは経済補償金の場合で、労働契約解除時の1ヶ月分の給与の計算は、先月分の給与となる。では、先月たまたま休みが多く給与が少ない場合、またはボーナス月で平均以上の給与を支払っている場合はどうなるのか。これまでは合法的に対処する場合には、不公平感があろうとも先月分の給与を支払うしかなかったのだが、今回の司法解釈で「明らかに高すぎたり、低すぎたりする場合には、過去12ヶ月の平均をもとに算定すればよい」となった。

 

経済補償金1ヶ月分給与の上限値

 

従業員との労働契約を途中解除する場合には、経済補償金を(勤務期間)1年につき1ヶ月分払う必要があるのは皆様ご存知の通り。しかも経済補償金1ヶ月分については上限があり、各地域の平均給与の3倍ということになっている(上海市の2008年の平均給与は3,292元なので、上海市での経済補償金1ヶ月分のMAX9,876元ということになる)。

 

では違法解雇の場合はどうなるのか。

 

通常違法解雇の場合には、支払う経済補償金は2倍になる。その場合経済補償金1ヶ月分のMAX9,876元×2倍=19,752元となるのか。今回の司法解釈では、「違法解雇であろうと、経済補償金1ヶ月分のMAXは、平均給与の3倍(つまり上海では9,876元)」ということが示された。

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