Y&E LAW・CONSULTING 上海外安伊企業管理諮詢有限公司

今回は、税関に関するコラムをお休みして、意外と知られていない上海高等裁判所発表の労働契約法に関する司法解釈(20093月)について、主なポイントを紹介する(※この司法解釈は、あくまでも「上海市のみ」有効。それ以外の地域の方々は参考程度に見ていただきたい)

 

企業側も3回目の労働契約締結を拒否する権利がある

 

労働契約法では、「200811日以降、企業が従業員と3回目の労働契約を結ぶ際には、無期限契約にしなければならない」と定められている。しかしこれまでは、2回目の労働契約終了後、従業員が3回目の(無期限)労働契約締結を望んだ場合、企業側がそれを拒否できるかどうか、明確に定義されていなかった。今回の上海市の司法解釈では、「企業側は3回目の労働契約締結を拒否することができる」と明確に書かれている。また従業員が望めば、3回目の労働契約は(無期限契約ではなく)固定期間契約もOKとなっている(ちなみにこの3回目の固定期間契約が終了した段階でも、企業側が労働契約更新を拒否することが可能)。

 

従業員から労働契約締結を拒否された場合

 

労働契約を結ばずに、従業員を働かせた場合は、2倍の給与を支払わなければならないのは、皆様ご存知の通り。では2倍の給与をもらうため、従業員側がわざと労働契約締結を拒んだ場合はどうなるのか(新規契約および契約更新の場合を含む)。今回の司法解釈では、「企業側が信義誠実に、労働契約締結を従業員側に依頼したにも関わらず、従業員が労働契約締結を拒否した場合には、2倍の給与を払う必要はない」と書かれている。また自らの理由で労働契約を締結していない従業員が、出社せずに職務を履行しない場合には、自動的に解雇することができ、企業側は経済補償金も払う必要がない。

 

代表処従業員の労働仲裁

 

代表処は、人材派遣会社(対外服務機構)を経由しないと従業員を採用できないのはご存知の通り。その代表処の従業員も、代表処に対して労働仲裁を申し立てることができる。また代表処が(違法で)直接従業員を採用した場合には、従業員および代表処ともに労働仲裁を申し立てることができない(民事訴訟なら可能)。

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