Y&E LAW・CONSULTING 上海外安伊企業管理諮詢有限公司

 「先んずれば人を制す」ではないが、「鉄」と「債権回収対策」は熱いうちに打つに限る。債権は時間が経てば経つほど回収が難しくなるからだ。

 

日系企業では、債権回収を営業担当者だけに丸投げする場合が多い。そのため支払期日から1年以上経たないと、その事実が総経理に報告されないという話をよく聞く。

  

「いやいや、ウチはそんなことはない。支払が滞っていたらすぐに俺のところに報告がある」という総経理の方でも、相手が大口の得意客であれば、(例え支払が数ヶ月遅れている場合でも)なかなか強気で交渉できないのではないだろうか。そういう場合でも、協議で解決を図るのと「同時に」、裏アジェンダで戦う用意も進めることをお勧めしたい。あらかじめ戦いの準備さえ整えていれば、万が一のときにも慌てなくて済む。「これ以上話をしても埒があかない」と判断した瞬間に、「あとは戦闘モードでよろしく」と部下に伝えればよいからだ。

 

実際、債務を払わない中国人経営者の中には、こういうケースもある。事業はうまくいっているのに、なぜか2万元程度の債権の支払いを拒むヤツだ。

 

これまで数十万元の取引をしていて、それはちゃんと支払ってくれたのに、今回の2万元はなぜか払ってくれない。こちらとしても、2万元程度の債権であれば債権回収処理も面倒だし、弁護士を雇って裁判等で戦うとなると、弁護士費用の方が高くつく。「仕方ない、今回は諦めよう」と日本人の経営者が泣き寝入りしてしまうのも無理はない。

 

しかしながら、この泣き寝入りこそヤツの思う壺なのだ。こういうヤツは、多くの企業に対して同じことをやっている。1社に対する踏み倒し債権が2万元でも、10社に同じことをやれば20万元、100社にやれば200万元の節約となる。

 

こういうヤツは、事業自体は今後も続けたいと思っているので、「裁判所に訴えて、財産を仮差し押さえするぞ!」と言うと、すぐに払う可能性が高い。

 

反対に、相手がお金を払わない理由が、意外と、こちら側にある場合もある。例えば、前回の取引でこちらが契約不履行をしていると、相手側が思っている場合などがそうだ。支払わない相手が全て悪いという先入観を持ちすぎないことも重要だろう。

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