Y&E LAW・CONSULTING 上海外安伊企業管理諮詢有限公司

 

不況になると増える「倒産」と「不良債権」。前回に引き続き今回も、不良債権を防止するための基本中の基本、「契約書」の重要なポイントを記述する。

 

漢字1字でも大きな違い

中国駐在暦の長い日本人といえども、中国人でも知らない法律用語(中国語)を完全に把握している人は、皆無に等しいのではないだろう。中国では、漢字1字の違いで、法的に大きな違いに発展することがあるので注意が必要だ。

例えば、「定金」と「訂金」。「定」と「訂」は、ピンインは同じだが、意味が大きく異なる。

ビジネスでは、商品・サービスをお客様に提供する前に、手付金等をもらう場合がある。それを「訂金(保証金)」としてもらった場合は、後で万が一商品・サービスをお客様に提供することができなくなり、売買契約を解除した場合でも、訂金(保証金)だけお客様に返せばよい。しかしこれを「定金(頭金)」としてもらっていた場合は、話が変わる。売買契約を解除した場合には、(賠償金を含めて)定金の2倍の金額をお客様に支払う必要がある。

 

有効なサインは法定代表人のみ

例え取引先と契約書を結んだとしても、その契約書が法的に有効になっていなければ、意味がない。例えば、こんな話がある。これまで何回も取引があり、顔馴染みとなっていた総経理の会社に商品を販売・配送したが、今回に限って支払がない。その総経理の携帯に連絡をしても音信不通。おかしいと思ってその会社を訪問すると、見知らぬオヤジが出てきて、「俺は董事長で、この会社の法定代表人だ。これまであんた達と商売をしていた総経理は、勝手なことばかりやるのでクビにした。あんた達への商品の注文もその総経理が勝手にしたことで、ウチの会社にはまったく関係ない。商品も総経理が持って行ったので、お金が欲しければその総経理からもらってくれ」と、信じられないことを言う。いやいや、こっちはちゃんと契約を結んでいるんだよと、その会社と結んでいた契約書を出すと、そのオヤジはその契約書の署名欄を指さして笑っている。署名・捺印欄には、相手の会社印がなく、元総経理のサインだけ。この元総経理は法定代表人ではないので、この契約書は無効となってしまうのだ。

御社が取引先と結んだ契約書には、相手の会社印がしっかり押されているだろうか。もしサインしかない場合には、そのサインが相手の会社の法定代表人であるかどうか、確かめた方がよいだろう。

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