Y&E LAW・CONSULTING 上海外安伊企業管理諮詢有限公司

昨年後半からのグローバル不況の影響で、中国企業も急激に業績が落ち込んでいる。これから中国企業の資金繰りが益々厳しくなると、倒産の数も増えてくる。そうなると、内資企業と取引のある日系企業の経営者は、これまで以上に「不良債権」の問題に苦労することになる。

 

弊社でも、最近、駆け込み寺のように「不良債権の回収」に関する案件が持ち込まれている。そのような不良債権の事例をいくつも見ていると、ある共通点が見えてくる。不良債権発生の根本的な原因は、「ビジネスの基本を守っていない」ことに起因するということだ。

 

そこでこれから数回にわたり、不良債権を防止するための基本中の基本、「契約書」について重要なポイントを記述する。

 

面倒でも、相手から嫌な顔をされても、必ず契約を結ぶ

日系企業で意外と多いのが「契約書なし」で取引をしてしまうケース。確かに面倒な契約書を作成せず、請求書ベースでビジネスをしたくなる誘惑があるのは分かる。また取引先の中国人総経理から「契約書なんて結ばなくても大丈夫」と言われたり、契約書を結んで欲しいと要求すると「俺の言うことが信用できないのか」と逆切れされる場合もある。しかし、ここで折れてしまってはダメだ。間違って理解されている方もいるようだが、中国は契約社会。アウェイで戦う日系企業にとって、最終的に頼りになるのが「法律」であり、その法律でこちらの権利を守るためには、「契約書」を作成しなければならない。

 

契約書に必ず入れるべき3つの項目

また、契約書は作成しているものの、内容が不十分であるケースも多い。契約書には、少なくとも次の3つの項目は入れるようにしたい。

 

      支払方式および支払期日

      違約責任

      解約条項

 

ビジネスを始める時点では、お互いにビジネスがうまくいくことばかりを考えるのは当然だ。しかし時間が経ち、環境が変わり、自社も変わり、相手も変われば、お互いの利益も変わってくる。後々、相手と問題が起こったときに、「言った、言わない」の水掛論をしたところで、意味がない。契約書は、そんな「万が一」の事態が発生したときのために、(その際のダメージを最小限にするために)作るものだ。そして「万が一」のトラブルとして、相手と争点になるのがこの3つ。御社の契約書の中には、きっちり3つとも入っているだろうか。

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