Y&E LAW・CONSULTING 上海外安伊企業管理諮詢有限公司

今回は、今年6月から何かと話題になっている中国でのストライキについて書いてみたい。

 

いろいろストライキのニュースを拝見すると、賃金アップ、福利厚生の充実、職場環境の改善などを訴えて工員がストライキを起こしていると書いてある。

 

仕事がらクライアント企業のストライキ対応のサポートをさせて頂くことも多いが、その中で感じるのは、最近はストライキに参加する出稼ぎ工員の世代交代に伴い状況が変わってきているということだ。これまで日系工場で働く主要メンバーであった60年代、70年代生まれの工員達は、出稼ぎで稼いだカネを、将来よい生活を送るために貯金したり、実家に送金するために使っていた。そのため職を失うことを怖がり、それなりに辛抱強く働き、よほどのことでないとストライキを起こしたりはしなかった。

 

しかし現在工員の大多数を占める80年代後半、90年代生まれの若者は違う。彼らは消費力旺盛で実家にお金を送金するどころか、生活費が足りずに、実家からお小遣いを送金してもらっている人もいるくらいだ。こういう人達は欲しいもの、買いたいものがいくらでもあるので、会社がいくら給料を上げても満足しない。ストライキを起こして給与が100200元あがったら、もう1度ストライキを起こしてもっと給与を上げようと思うだろう。また会社にとって都合が悪いことに、こういう若い工員達は、会社をクビになること、しばらく職がみつからないことを屁とも思っていないことだ。実家から仕送りをもらっているので、嫌な職場で働くくらいなら、しばらく無職でプラプラ過ごしてもヘッチャラと考えている人もいるくらいだ。こういう若い工員が相手なので、残念ながら会社側として100%ストライキを防ぐ方法はない。

 

では会社がやれることは何かといえば、(1)できるだけストライキの発生確率を減らす努力と、(2)いざ起こった時の準備をしておくことだろう。(1)としては、日頃から工員達の本音を聞く機会を作り、ガス抜きをすることに尽きる。(2)としては、最近弊社にも問合せが多いのだが、ストライキ発生を想定して「対応マニュアル」を作ること。マニュアルは、日本本社等とも共有することで、いざとなった時にスムーズに対処できるだけでなく、事前に作成しておくことでシミュレーション効果もあり、日本人幹部の心の準備にもなるだろう。これは営業トークになるが(笑)、このような「ストライキ対応マニュアル」に興味がある企業の方は、ぜひご連絡を頂ければと思います。

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